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俺は必死で言い訳を考えた。が、この場をうまく切り抜ける方法なんて簡単には浮かんだりはしない。そんな風に理性的に物事を考えられる人間なら、そもそも学校に来たりはしなかった。
俺は大仰に溜息をつくと、掠れる声を絞り出した。
「……今朝から。朝、目が覚めたらこんな体になってた」
「……まぢかよ」
大きな手が、無遠慮に俺の胸を鷲掴む。
「うあっ……」
「まぢでくっ付いてっし」
続いて、なんの脈絡もなく彼はやらしく揉み始める。
「……っ! 揉むなよ!」
「揉むだろ。こんだけ立派な乳だぞ。なかなかねえし」
貴文はすげーすげーとしきりに口にして、手を動かしている。
(気持ちは分からないでもないけど)
今朝、俺も全く同じことをした。
にしても、自分でするのと他人にされるのとでは全然意味合いが違ってくる。
「いい加減にしてくれ!」
なんだかゾワゾワしてきて、俺は彼の手を力一杯振りほどいた。ついで壁に体をくっつけ、背を向ける。
「なあ。それ、ホルモン異常とかか? 俺、聞いたことあるぞ。胸が膨らむ男もいるって」
「……それとは違うと思う」
ホルモン異常だとしても、一晩でここまで胸が膨らむなんてありえないだろうし、何よりちんこが消えるわけがない。そんなことが起こりうるなら、性転換手術なんていらないだろう。
「違う? 何でだよ?」
「それは……」
「ってか、下はどうなってんだ?」
「ひゃっ……!」
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