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「良かった」
「お、俺は、いらねぇからな!」
「なぁ、なぁ、貴文。お前のコレクション見せてよ。俺ら、お前の見せてもらったことないし」
「もちろん。それじゃあ、放課後みんなでトレードしない?」
「賛成!」
「え、あ、おい、待てよ……っ」
その日から、貴文は変わった。
以前のような人気者とは違う……どちらかといえば、王者のような立ち位置に。
彼は徹底的に自分の地位を確立した。自分に対立するやつは金で懐柔し、それにのらないやつは、周りの生徒を使って追い詰めて徹底的に潰した。
学年の流行りは、貴文が作った。
彼に従わないやつは軒並み仲間外れにされた。
そして、従うやつには、彼は湯水のごとく金を使った。「俺にも金さえあれば」と言った奴がいたけど、金だけで支配するのは並大抵なことじゃないだろう。俺には到底真似はできない。
彼の新しい父親も、後押しした。彼の父は学校に寄付をし、自治会に寄付をし、子供会にも莫大な金を払った。
みんな、金の前に膝を折った。そもそも貴文の親は悪い人というわけではない。ただ、なんとなく『金持ち』『かなりの年の差再婚』に反感を覚え、中傷していただけなのだ。
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