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こうして6年になると、貴文は学級委員になった。
そして、中学では生徒会長に君臨し、そして、高校生になった。
俺は、彼の庇護下で学校生活の大半を過ごした。貴文の雑用係をいじめる奴はいない。
『彼が俺を助けてくれたように、俺も彼の役に立ちたい』
俺はいつしか彼の役に立つことに、自分の人生の意味を見いだしていた。
今は、その他大勢と同じだとしても、もっと役に立てれば彼の特別になれる。想いは通じる。
しかし、悲しいことに俺は男だ。恋人のように彼を満足させることはできない。中学の頃、男は嫌いだと明言した貴文は、全く男にプライベートの話をしなくなった。
俺は滑稽なまでに彼のために、奔走した。けれど、頼まれることと言えば精々雑用係で、代替ができるものばかり。それが悔しくて、悔しくて、たまらなかった。
――でも、今は違う。俺はもっと深く、物理的に彼の役に立てる。
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