6 ■ 望んだ日常 ■

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6 ■ 望んだ日常 ■

 初体験を済ませた俺は、貴文が求めるまま体を差し出した。場所も時間も関係なく盛る様子は、ケダモノみたいだ。  * * * 「お……お邪魔します」  ある日の夜。  いつものように貴文に呼び出された俺は、おずおずと彼の自室に足を踏み入れた。  何度足を運んでも、慣れない。  俺の家がまるまる入ってしまいそうな部屋だ。  家具類はモノトーンで統一されていて、ズラリと並ぶ本棚に、大きなテレビ、キングサイズのベッド、デスク、そして大人が10人はゆったりと座れそうなソファ、あと、筋トレマシーンがバランスよく配置されている。  部屋にはチリひとつない。部屋の主人が外へと出ている間、お手伝いさんが隅から隅まで丁寧に磨き上げているのだろう。 「今日は……あそこでするか」  部屋に入るなり、貴文はデスクに歩み寄ると革張りの椅子を引いて腰掛けた。 「こっち来いよ」 「え、どうして?」 「テスト前だろ。さすがにそろそろ勉強しなくちゃならねえから。お前には家庭教師を頼むわ」 「家庭教師?」 「そ。早く用意してくれよ、先生」  言って、彼はデスクの下を指さす。     
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