殺せ

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殺せ

白いマスクを被った男はじっと英司を見つめていた。  「殺せ!」 英司がそう叫んだ。  「お前の目的は俺を殺す事なんだろ、それなら殺せよ。早く。その白いマスクは素顔を隠すためか?それとも帰り血を防ぐためか?俺の人生なんてこの程度のもんさ、長く生きても意味なんてない、殺してくれ。」 やけくそになった英司は必死に叫んだ。どうせ殺されるならせめて爪痕を残したい。英司はそう考えていた。白いマスクの男は相も変わらず英司を見つめている。だが、体が小刻みに震えていた。  「ぷっぷっぷぷぷぷ。僕が君を殺したい?冗談やめてくれよ。僕は殺人者にはなりたくないね。」 英司は口を開けてぽかーん。  「普通、殺そうとしてる奴に包帯なんて巻いてあげないよ。そうだろ?犬を使って小判を掘り当てようとした翌日には、独り言を言いながら考え事をした末、満足げに「分からない!」と豪語し、しまいには地面に話し掛ける、ただの超変人君。」 英司は気の抜けた間抜けな表情から一転、怒りの表情に。  「じゃあ聞きますけど、そのマスクは何ですか~? その血の様な赤い点々は何ですか~? そもそもここはどこですか~? なぜその扇子を持っているのですか~? なんでその事知ってるんですか~? 殺す意外の目的は何ですか~?」 英司が立て続けに質問をする。口調がまるで幼い。 すると、マスクの男も負けじと幼い口調で返してきた。  「このマスクは演出です~。 この点々は血糊です~。 ここは山奥のお家です~。 この扇子は僕のです~。 ずっと君を見てたからです~。」 会話だけ聞くと幼稚園生の会話だが、話しているのは変人包帯野郎とこれまた、変人白マスク野郎である。  「最後の質問にもきちんと答えて下さ~い。」 英司が重ねて質問した。すると、先程までの幼い雰囲気はなくなった。マスクで隠れてはいるが、恐らく真剣な表情。           「僕が君をここへ連れてきた目的は、」             一瞬の間が空いた。              「君が六感人間だからだ。」
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