第六感とは

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 本日最後の授業が終わる、数分前になった。諸事情によって今日は理科が二時間入っている。一時間目の理科で、顔面で怒鳴られた男はこうして無事に授業を終えられる事に喜びを感じているようだった。なぜなら、ニヤケが止まっていない。     「5.4.3.2.1.0!!!」 机をバンと叩いて起立した。机の上のペンはグラグラと揺れている。これではモグラもビックリだ。男に代わって謝ろう。ごめんなさい。先程までの皆の白い目は今や完全に白目。怒りの眼差しだ。先生に至っては白目になり過ぎてぐるんぐるん眼球が回転している。                                 勿論、               嘘である。    「よっしゃー、授業終わりーー早く授業終わりの挨拶してくれよ、学級委員。」 隣で、正木が注意する。    「英司君、静かにしなよ。皆も機嫌損ねてるだろ。」 今更ではあるが、男の名前である。    「なんでだよー、授業終わりの時間だろ。」 このように空気が読めないのは英司の特徴でもある。    「確かにそうだけどさ、今は先生が大事な話してるだろ、時と場合を考えなきゃ。」 正木が正論を言った。    「だったらお前は時間を守るなよー。」 英司が屁理屈を言った。    「と、とにかく今は黙ってくれy...」  「うるさーーーーーーーーーーい!!!!!!!!!もういい、二人とも廊下に出てろ!!」 そう言い放ったのは紛れもなく英司を殴った張本人、兼、すぐに話がそれる先生、兼、オカルト大好き先生、草部 舵男である。読みにくいだろうから言っておこう、くさべ かじおである。英司の天敵で、英司の担任。英司にとってはまさに地獄の日々である。それにしても、一時間、六時間と共に怒られる生徒も珍しいものだ。
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