真夏の雪

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ぱくり。大きく口を開けて手元のホットドッグに齧り付いた。家から数分のパン屋でその日の気分のパンを買うのが私の日課だ。今日はなんとなくがっつり食べたい気分だったので、ホットドッグを選んだ。ウィンナーはパリッと音をたてて、レタスはシャキリとみずみずしい。朝ごはんとしては十分すぎるご馳走だ。 「──おいおい、これから何があるかわかってんのか?」 後ろからかけられた声に驚いて、ご馳走が変な方向へと流れていく。思わず噎せながら、その嫌味ったらしい声の主を思いっきり睨みつけた。 「けほっ、いきなり話しかけないでよ。せっかくの朝ごはんがあんたのせいで台無し」 「そりゃあすまんな。まさかこんな日に美味しそうにホットドッグ頬張っている奴がいるとは思わなくてさ」 青い目を細めてわざとらしく首を降るこの男はB。幼なじみであり、私の行きつけのパン屋の息子である。 「……さっきぐるりと見てきたけど、あとここに残ってんのは物好きな変人と俺くらいだぜ」 「人のことさらっと変人とか言わないでよ。てかとっととあんたもこの街出てけば?」 「おいおい、ほんとに残る気か? ──あとニ時間もすればこの国から出られなくなるって分かってんだろ?」
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