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「本当に……なんなの、」
「んー、お前が泣いてるから」
「……私が泣いてるのと、あんたは関係ないでしょ」
ぽつりと弱々しく呟いた彼女は「恥ずかしいからもうやめて」と僕の手から逃げるように俯く。
そんなんで、僕から逃げきれたと思わないでほしい。
「関係ないのが嫌なんだけど」
「なにそれ、意味分からないよ」
下を向いたまま交わらない彼女の視線。トントンと机を人差し指で叩いて意識をこちらへ誘導する。
真っ赤な瞳に僕が映った。
本当に気に入らない。そんなに瞼を腫らして、ぐちゃぐちゃになるくらい、好きだった?
「あれだろ、この前好きだって言ってた男に彼女がいたんだろ。だからそんなに大泣きしてるんだろ」
「あんた本当になんなの……人の傷口抉りにきたの……?」
そっと、再び彼女の頬に手を伸ばした。ムカつくな本当に。あんな男のために泣くなよ、そんなに瞼腫らすなよ、大好きだって見せつけられてるみたいで本当にムカつくよ。
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