2.オッサンに事情を話した!

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「事情はよく分かった。力を貸そう。ここは狭いけど2人で住めないことはないから、しばらくはここにいてもいいよ。その間にいろいろな問題を解決して行こう」 「ありがとうございます。おいていただけるだけで良いんです。家事でも何でもします」 良かった。しばらくはおいてもらえそう。話を聞いて、私への態度が変わったみたい。おじさんも同じ境遇だったとは、それに妹さんも不幸に遭われたなんて、その悲しみを私は分かる。 「これからの問題として、叔母さん夫婦に了解を得ておかないといけないと思う。それに高校をどうするか、あと健康保険などをどうするかとか、お金だけで解決できないことがいろいろあるけど、まかせてくれるかな。事情が分かったから悪いようにはしない。力になるから、安心して」 おじさんの真面目な性格からか、どんどん具体的に話が進みそう。まかせてもいいのかな、いやもう任せるしかない。良い人のようだから。 「ありがとうございます。駅で目が合った時に直感的に良い人と思いました。お願いしてよかった」 「ただ、今の話は本当だね」 「本当です」 「じゃあ、今日はここまでにして、お風呂に入って寝よう。少し方策を考えてみる。仕事で弁護士さんともつきあいがあるから、それとなく相談してみるよ」 おじさんに話をしてよかった。おいてもらえることになった。ほっとしていると、おじさんがお風呂の準備を始めた。先に入ってといわれたが、おじさんに先に入ってもらった。あとからお風呂に入って、また借りたトレーナーを着てリビングへ行く。 「トレーナーでは可哀そうだから、明日、近くの店へ着替えを買いに行こう。ここには女の子の着るものがないから。それと布団をもう1組買おう。食器ももう1組必要だね」 「本当においてもらえるのですね、ありがとうございます。それからなんと呼べば良いですか」 「まだ、名前を言っていなかったかな。僕は、石原(いしはら) (けい)、32歳、会社員。圭さんとでも呼んでくれれば良い」 「君は山田美香だったね。美香ちゃんで良いね」 それから、昨晩と同じように、私は寝室の圭さんの布団で、圭さんはリビングのソファーに、分かれて就寝した。やっぱり圭さんは私を求めてこなかった。
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