ジュリーと女友達

　本当に久しぶりに見るジュリーだった。
　白髪頭に白い髭を生やして少しふっくらとしたジュリーは、昔のジュリーとは別人のようだったけれど、私はスタジオのコメンテーターたちの口から出る「ジュリーは劣化した」などとは一切思わなかった。

　私は単純に「へぇジュリーって、ずいぶんとお洒落なおじいさんになったんだなー」と思ったのだ。ジュリーだって人間だ。歳を取るのは当たり前じゃないか。

　無造作な白髪頭に白い髭。
　年をとることに潔くて逆に気持ちいい。それに謝罪の場で可愛い蝶ネクタイなんかして、その姿はまるでどこかの学者さんみたいでとても素敵だった。

　その日からネット社会の恩恵を多いに受けてのジュリーサーフィンの日々が、新鮮な感動と共に今も続いている。膨大な量の動画の中には若かりし頃の美しいジュリーの姿はもちろん、あの硝子細工のようだった少年ジュリーもいる。それらは全て、生粋のファンの方々のジュリー愛にあふれた貴重な映像記録だ。

　色々な趣味に嵌ってはお座なりにして来た私だけど「趣味は？」と今聞かれたら「沢田研二」──とでも答えようか。何十年もの空白の時代を越えてのファン返り咲きである。
　そして私は今、その空白の時代を動画の力を借りてジグソーパズルをするが如く、一つ一つの穴を埋めるような作業をしている。私が時に迷子になったりして紆余曲折していた長い年月の間、ジュリーを支え続けていた真のファンの方々に心から感謝しつつ、心の奥底に埋没していた、ときめきと言う感情を蘇らせている今日この頃である。