ジュリーと女友達

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 ■  今日も暇にあかして相変わらずの動画巡りだ。  十代から現在までのジュリーの膨大な記録がインターネットの中に納められている。動画はランダムに並べられているが、どの時代のジュリーにももれなくぎゅっと胸を掴まれてしまうから困ったものだ。  そんな中、ある一本の動画を見ている時に高校時代の記憶がドッと鮮やかに蘇った。私が通った公立高校の近くに、私立の女子高があった。お金持ちのお嬢様が通うミッションスクールだ……多分。その学校のいかにも重々しい扉はいつも固く閉ざされていて、おまけに校舎を囲む塀も高く、簡単に中を伺うことは出来なかった。それならとわざわざ少し離れて背伸びをすると、僅かに教会のてっぺんの十字架が見えた。  おそらくその中には公立のわれわれの学校とは、さぞかし違う世界が広がっているのだろうと、時々すれ違うそこの生徒をチラチラ見ながら深いため息をついた……心の中で。  更に言えば、私の学校の生徒の多くは地元の西鉄という私鉄電車を使っていたが、ふと、あの女子高のお嬢様たちを電車内であまり見かけないことに気付いた。同じような通学路のはずなのになぜだろうと思っていたが、彼女らの多くは自家用車で送迎されていたのだ。たまに校門近くに停車する高級車を見かけるたびに何とも言えぬ格差を感じて、どうしようもない切なさが込み上げたものだ。
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