ジュリーと女友達

13/18

12人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
 何故、その私立高校のお嬢様の話をここでするかと言うと、ジュリー主演のテレビドラマのさわり部分を、何十年ぶりかに目にしたからだ。それはジュリーがかの有名な三億円強奪事件の犯人役をした「悪魔のようなあいつ」というテレビドラマなのだが、ジュリーの妹役に新人女優が抜擢されることで当時かなり話題になった。 (え……自分と同じ年頃の女の子がジュリーの妹役に?)……そう思っただけで嫉妬の炎がメラメラと燃え上がったのだが、なんとその新人女優がよりによって、先に話したお嬢様学校の出身者だったのだ。     年齢からして一度くらい道ですれ違っていても何ら不思議ではなく、いつも横目でチラチラと、そこの女生徒を恨めしげに見ていた私は相当なショックを受けた。同じくジュリーファンの真由美ちゃんも私と似たような気持ちだったろうけど、ジュリーファンじゃない他の同級生の女子達も、少なからず何か複雑な気持ちになったはずだ。    あのジュリーのそばに、ほんの目と鼻の先の学校に通っていた生徒が……と思うと、もう嫉妬を通り越して本当にショックで愕然とした思いだった。  しかしドラマが始まってその新人女優がテレビ画面に初めて登場した途端、大火事寸前だった私の内なる嫉妬の炎は呆気なく鎮火した。  それは何故かと言うと、戦う前に完全にノックアウト状態になったからだ。しかもそれはよく言うどころか、我々と彼女とは明らかに住む世界が違っていた。ジュリーと同じテレビ画面に何の場違い感もなく映る、彼女の透明感ある美しさはショックを通り越して、ただただ惨めな敗北感だけを私に残した。  私は毎週漫然と、ドラマの続きを見ながら少しずつ現実を受け入れていくという困難な作業を続け、やっとどうにか立ち直った頃にはドラマはすでに終盤に差し掛かっていた。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加