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いつもだったら登録していない番号には出ないのだが、四、五度めのコールで私はその電話に出た。
すると、
「あ、南波さん?」
ん?
女性の声だ。営業電話か?その時点では電話の相手が誰なのかは全く分かっていなかった。
しかし間髪入れず、
「南波さん、わたしだよ、真由美!」
「えーーっ!?真由美ちゃん?!」
驚いた。
心底驚いた。
思いがけない人からの電話に、思わず私は素っ頓狂な声を出してしまった。
真由美ちゃんとは十数年前に高校の同窓会で会った切りだった。それは高校全体の同窓会で良く分からないまま誘われるままに参加したのだが、運悪くというかその年は、我々何期生だかが同窓会を取り仕切る幹事だということだった。
そこでわれら同期生は参加者全員、何やら諸先輩方のお酒の世話など任されて、久しぶりに会った真由美ちゃんや他の同級生ともあまりゆっくり話すことが出来なかった。
その時も福岡市内に戻る電車の時間の都合で、真由美ちゃんとの再会もそこそこに慌しく別れたのだ。──その時以来の彼女の声だった。
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