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追記
二〇一九年五月二十四日。
沢田研二〈SHOUT〉のコンサートは満員御礼の中、大盛況の内に終わった。十数年振りの再会なのに真由美ちゃんとは、至極あっさり何の違和感もなく、二人遥か昔のあの熊本のコンサートと同じ様にジュリーを心ゆくまで堪能した。
ジュリーも私達二人も随分と見かけは変わったけど、そんなこと今更どうでもいいじゃないか。
私はここぞとばかりに自分を大開放して恥も外聞もかなぐり捨てて、回りのベテランファンの方々の動きに合わせ、腕を振り振り振り上げた……かなりぎこちなかったけど。
さぞかし血圧が急上昇したであろう興奮のるつぼの中で、あっという間に夢の二時間は過ぎた。(はしゃぎ過ぎて、翌日は体のあちこちが痛むというオマケ付き。)
ライブ終了後は厚かましくも真由美ちゃんのお宅にお泊りさせていただいた。そして翌日には、もう一人の親友である友ちゃんも合流して三人で美味しくランチをいただき、その後真由美ちゃんの運転する車でカラオケに行く。
カラオケなんて、何年ぶりだったろうか。
昼間っからアルコールなしの馬鹿騒ぎだ。
私は前日の流れのままジュリー三昧で、幾つになったって学生時代の友達と会えば、青春真っ盛りにタイムスリップしてしまう不思議。人が聞いたらさぞかし鼻で笑うだろうけど敢えて言う。あの日の私達三人は制服を着ていないだけで、気分は間違いなく十七歳だった。
「誰か一人欠けても嫌だな……」って真由美ちゃんが、カラオケの合間にぽつっと漏らした。駄目だよ、そんなこと言ったら。最近の私は簡単に泣くんだから。案の定ちょっと泣いた……。
最近の彼女は格安弾丸ツアーに嵌っているらしい。 「いつか三人で韓国ツアーにでも行こうよ」と約束して、学生時代にみんなでよく遊んだ駅前で二人と別れた。
こうやってジュリーのドタキャン騒動はジュリーの与り知らぬ所で、思いがけない素敵なドラマを作ってくれた。素晴らしい感動のステージに加えて、友人達との最高に楽しい時間を有り難うと、ジュリーにたくさんの感謝を送りたい。
バイバイ、真由美ちゃん、友ちゃん。
また来るよ。
車の中から笑顔で手を振る二人の女友達は、数時間前よりも心なしか若返って見えた。
END
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