吾輩は猫である。名前は猫である

2/2
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
人間という生き物は、とかく本という物体が好きらしい。 何がそんなに面白いのかと時々眺めて見るのだが、そのたび動かされたり掴まえられたり持ち上げられたりしてゆっくり読めぬ。 それでもどうにか隙を見つけて眺めてみた事もある。しかしどうにも私にはその面白さが解らない。 人間がいない間、ゆっくりソレを眺める時間があったのでようく見てみた。 すると奇っ怪なナゾがいくつもあった。 文字というモノが並べられている、それらはたびたび固まりになり、たびたび空白が空いている。なのにまた文字が始まる。 しかもときどき1文字目が消えてなくなっている。これは一体どういうことか。誰かに食べられてしまったのか、それともこの空白に入る文字を当てるゲームか何かか? ときどき良く解らない点々がある。点々は必ず六つある。この6つが表すものが何なのか良く解らない。なぜ六つもあるのか?しかし必ず6つである。きっと何か意味があるのだろう。 ときどきある空白は、どうやら〝?〟という文字の後ろにもあるようだ。〝?〟は一体なんなのだろう?答えという意味か、果たして。 ときどきある空白は、どうやら〝!〟という文字の後ろにもあるようだ。〝!〟は一体なんなのだろう?まったく意味が解らない。もしかすると〝?〟=〝!〟なのかもしれない。 う~む、こうして眺めて見たけれど意味が解らないものが沢山だ。 なんだか眠くなってきてしまった。 ぐう・・・。 * * * 「あー!!」  家に帰ると猫が新聞紙の上で粗相していた。お陰で確認したかったテレビ欄の文字が見えない。 「……新聞紙って、溶けるんだ~」  よくよく見ると、文字が消えたと言うより、紙が溶けたって感じかもしれない。  意外な発見で「へぇ~……」なんて呟きつつ「こら! 待て!」と飼い猫には叱るフリをしておいた。  猫は〝なんで怒っているのか、さも解らん!〟みたいな空気を醸している。 「まぁ、猫には解らないか~……。」  暫くすると、猫はまた新聞紙の上に寝ていた。沢山の文字に埋もれて眠るのは心地良いのか?  もしかすると、夢の中では世界的な時事問題の謎に挑んでるのかもしれない。 ……な~んてね。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!