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雪下君の突然の告白に頭の中が真っ白になった。
「雪下君、なんで・・・?」
初めて人に告白されたのにうれしいというより混乱していた。
「話していたときあんなにも本当の自分を出せていたから。」
即答された。雪下君をじっと見る。この人は雪下君に間違いないけど、こういう人だっただろうか?いつも弾けるように笑っている太陽みたいな人だったのに、大人になったとはいえ、こんな昏い目をしていただろうか?こんな苦しそうな笑顔、私は見たことない。
「俺は、和田のようになれなかったから、あの時。」
独り言のように雪下君はぽつりと言う。風が冷たい、もう春なのに。でも雪下君の心が一番冷たくなってしまっている。
「雪下君、本当にいいんですか?・・・その私で。」
最後の言葉はすごく小さくなってしまったけど雪下君は聞こえたのか大きく頷く。
こうして私たちは付き合うことになった。このときはまだ全然知らなかった、雪下君の心の傷を。
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