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「律と・・・なんで和田さんがいんの?」
友達と水族館に来ていたみたいで少し遠目からこちらをじろじろと見ている。原さんと同じで長い黒髪でスタイルのいい子達だ。
「ちょっと、先行ってて!」
可愛い声で友達に手を振る原さん。分かったと言って原さんの友達は行ってしまった。
「で、どういうことなの?」
原さんは繋いだ手をじっと見る。私は恥ずかしくなって手を離そうとしたけど雪下君は握ったままだった。
「里佳子には関係ない。」
原さんを全く見ないで私の手をひき原さんの横を通り過ぎようと雪下君はしたけど原さんは雪下君の腕を掴んだ。
「私、今も律のこと好きだよ。」
綺麗にネイルをした指でぎゅっと雪下君の腕を掴んでいる。
「別れたくなかったよ、あの時。」
綺麗にリップした唇でドキッとするような声で雪下君に言う原さん。私の心の中に黒くてどしゃぶりの雨を降らしそうな雲がもくもく出てきたとき、
「俺は別れてよかったよ。」
冷たい声で原さんの手を払いのけた。原さんは雪下君の腕を掴むことはなかったけど、
「和田さんは律のすべて知ってるの?」
私にぐいっと顔を近づけてきた。
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