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けど母さんは父さんの死を受け止めることができなかった。
料理はいつも父さんの分を作って用意していた。
父さんの服を何度も取り出しては畳んでまた戻す行動をしていた。
「母さん、・・・父さんはもういないんだよ。」
教えるたびに母さんは涙を浮かべて首を振った。
そして母さんは少しずつ壊れていった。
「母さん、ラップ前も買ったよね?もう5本もあるよ。」
前、買ったこともよく忘れるようになった。
「律、私、今どこにいるか分からないの。」
いつも通る道なのに突然帰りかたが分からなくなって電話をするようになった。
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