雪下律の過去

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「母さん、無理しなくていいよ。買い物ぐらい俺するから。」 母さんを無事見つけ、買ったものが入ったエコバックを受け取る。 ・・・またラップを買っている。まあ腐ることはないからいいけど。 「今日はお父さんが大好きなロールキャベツ作るからね。」 にっこり笑う母さんに俺はうんと頷く。 「ロールキャベツ俺も好きだよ。楽しみだな。」 ほぼ毎日出てくる父さんの大好物のロールキャベツ。もう食べ飽きたけど母さんが笑ってくれるなら我慢できた。 「律、ごめんね。お母さん、最近いろんなこと忘れて、あなたに迷惑かけて。頼っておいてこんなこと言うのはおかしいけど、私のことそんなに気にかけなくていいわよ。心配してくれてうれしいけど。」 大丈夫だから、俺は。そう言いたかったけど俺はうまく言えなかった。 夕焼けが目に染みるくらい綺麗で、なんだか泣きたくなった。 「息子にここまで心配かけるなんて母親失格ね。」 俺は母さんの息子でよかったよ。だからお願い、これ以上壊れていかないで。自分の言葉で自分を傷つけないで、頼むから。俺たちはもうたった二人の家族なんだから。
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