禁断ルビー

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 生まれた時からこうなるって、解っていたら?  でも歴史にifはない。残酷なことに。そして幸福なことに。  姉の緑子(みどりこ)と弟の(たつみ)は幼い時から仲が良かった。  家は田舎の長閑な土地にあり、家の裏手にある木苺を、棘で手を傷つけないように薄いゴム手袋をして、摘んで食べたりした。  緑子の髪は名前のように、見事な緑の黒髪で、艶々としていたが癖っ毛で、巽は時々そのことで緑子をからかったけれど、内心では姉の髪が好きだった。  巽自身の髪は何の因果か色素の薄いさらさらの猫っ毛で、よく緑子に羨ましがられた。  髪の毛を取り換えてよなんていう無茶を、緑子は言ったりしたが、それは巽に甘えているだけだった。  赤い木苺はルビーの光っているようで、緑子の髪に巽は戯れに置いたりもしてふざけた。  けれどそうすると緑子の黒髪にルビーの輝きが映えて、本当に綺麗なのだ。巽は緑子にばれないようにそっと見惚れたりした。  やがて緑子が遠方の大学に入学し、それまでより忙しくなった。巽は春になると一人で木苺を摘んで食べた。一人の木苺は、どこか余所余所しくて味気なかった。
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