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その頃沙織はーーー。
なかなか原田さんに話しかける事が出来ないまま、現状にイライラしていた。
(どうしてこんなに思っているのに原田さんは自分のものにならないのか?こんなに好きで綺麗になるためにお金もかけて努力しているのに!どうして?……。)
会社ではやつれた顔で働き、沙織に話しかけてくる人はほぼいない。
なのに何故か内面から湧き出てくる恐怖めいたオーラは凄まじいのだった。
その邪悪なオーラに引き寄せられたのかは分からないが、何と!
あの沙織が思いを寄せている原田さんが話しかけてきたのである。
沙織の思い通りとまではまだいかないが、沙織にとってはこんな嬉しい事が起こるとは何というチャンスであろうか。
「速水さん。最近お疲れのようですね。どこか体調でも悪くしましたか?」
「あっ、いえ。少し睡眠不足なだけです。これくらいは大丈夫です。」
「そうですか?あまり無理はしないで頑張ってくださいね。」
と、原田さんもとても疲れているのだが、優しい先輩なのでついそういう声をかけてしまうのだ。
沙織はこの機会をいい事にLINEを聞いてみるのであった。
「ありがとうございます。いつも気にかけてくださり、とても嬉しいです。あ、あの……。その……。良ければで構いませんが、LINEの交換をしてもらえませんか?あ、無理には聞きませんから。よければでいいです。あの、何かすいません……。」
「何だ。そんな事ならいいよ。教えてよ。速水さんのLINE。交換しましょう。」
「あ、いいのですか?すいません。ありがとうございます。」
「何か話したい事があったらいつでも気軽にしてくださいね。何かわたしも最近あまり寝れないんだよね。同じ睡眠不足同士で話しでもしますか?なんてネ。じゃまた。」
「あ、はい。ではまたの機会がございましたら、よろしくお願いします。」
と、沙織はぎごなく話したのだった。
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