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僕を引く手は、とうに諦めていた。僕は見ることはできないから分からないが、きっと同じ表情をしているに違いない。このあたたかさは、午後の日差しのせいだけじゃないと、確かに信じられるから。
僕は、やっと微笑みを浮かべた。君の顔がいっそう綻んだように見えた。あたたかく見守られる、陽だまりの中、芝生が照り返す緑のにおい。君があと少しまで来ている証拠だ。
「ふふっ」
口をすぼめるような笑い声が漏れた。僕からなのか、君からなのか。芝まみれの両手を頭の位置まで掲げながら、君はゴールした。僕の元へ。
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