序章

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10年前 当時の王、楊己(ようき)は快活で豪胆な人情家で 家臣や民に、とても慕われる良き王であったが 幼い頃より持病を抱え 自身が短命である事を早くから悟っていた そして30歳を迎えた頃 いよいよ死期が近いと感じ 自身亡き後のことを王族、家臣を集め明言し 遺言を守るよう誓約をとりつけた 跡継ぎとなる王子は当時8つで 国を背負うにはまだ幼い 王位の継承は早くとも18歳と定められていた為 王子が18歳となり王位を正式に 継ぐまでは、弟の駿河(するが)が王位に就くこと 10年の後 王子が王位に就いた際には 楊己の腹心の子を側近につけるようにと… それから間もなく 楊己は短い生涯を終えた 新たに王となった駿河も当時まだ23歳と とても若い王であったが 分け隔てなく意見を聴く柔軟さと 穏やかな人柄で人々に安心感を与え 前王にも劣ることのない良き王となる 王位に執着する事なく10年後の来る時 より良い国になっているよう日々国務に勤しみ 次王となる王子を慈しみ、とても可愛がった 前王から仕える家臣達は前王亡き後も 王家への忠誠心が強く、まだ若い駿河を 献身的に支えた
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