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プロローグ
彼は探しものをしていた。
ずかずかと大股でそれを置いてある店を探す。賑わう通りには露店はたくさんあるが、彼の探しているものはないだろう。そう思って大通りから一本筋を入る。
一本入っただけで人通りはまばらになった。ただ、店はある。順に見ていくと、帽子屋、時計屋、鉱石屋。そして――。
彼は一軒の店の前で足を止めた。白い壁に幾何学模様に織られた布が掛かっているだけの簡素な門扉。その布には一枚の張り紙が貼り付けてあった。
『あなたの探している魔法、必ずあります』
彼はその布を乱暴に開いた。
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