第5章【同種に・新しい生活②】

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 先生が聴診器を片手に有李斗の横へ来る。  「さっきまでの事が嘘みたいに楽です。頭の中も、さっきよりスッキリしています。」  砂嵐のような映像が、まだ残ってはいるものの、眠る前と違って画像が薄くなっている。  「そう。やっぱり優くんの匂いが濃いところにいるからかもしれないね。傷口は痛くない?」  「痛みはありますが我慢できない感じじゃないです。」  「我慢はしなくていいよ?」  「ええ。でもあんまり薬は飲みたくないので。」  「それ、さっきも言ってたよね。でも我慢はよくないから。特に、今の有李斗くんには。なるべく取り除けるストレスは取り除きたいからね。」  「はい。」  先生が診察をしている間、ボッーとしていた、何も考えず、ただ優の匂いだけが鼻を通り、頭の中の力が抜けていく。病室では、あんなに頭の中まで力が入っていたのに、今はスッーと風が抜けていく感じがする。  「どうかした?」  「いいえ。頭の中が軽くなったなあと思って。」     
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