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大というのは大学時代の同級生で、何の縁か今も交流がある。
こちらも国内で5本の指に入る大きな有名病院の息子である。
性格は有李斗とは真逆で誰とでも気さくに話す。医師としては、まだまだ若いが、外科医としての技術、内科や小児科医としての細やかさと優しさがあり、病院のスタッフの間でも尊敬されているのである。
「有李斗の奴、相変わらずだなあ。」
「有李斗さま…」
「お前の言いたい事はわかる。でも今は黙って車を走らせろ。」
【こいつ全然、目を開けないな。息はしてるから大丈夫だと思うが、こんなに痩せていて軽い。年齢だって少年と言っても18,9か。しかし、何だってあんな所に】
「有李斗さま。もうすぐ着きます。」
「ああ。」
車を病院の裏口に着ける。大が立っていた。急いで少年を車から降ろす。
「こいつだ。息は普通にしている。でも全然目は覚まさない。」
「おい。こいつ誰だよ。」
「いや、知らん。」
「知らんってなんだよ。どっから連れて来たんだよ。」
「落ちていたんだ。」
「落ちてたって物じゃねえだろうよ。ちゃんと説明しろよ。それに、多田さんも呆れてるし。どうしていいか分かんねえんじゃねーの?」
「それは問題ない。多田は大丈夫だ。」
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