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「そうか。良かったね。今さ、有李斗くんと優くんが作ったフレンチトーストを頂いているんだ。有李斗くんもお腹空いてるんじゃない?さっき『お腹空いた』って言ってたね。さすがにフレンチトーストはダメだけど、何か食べてもいいかもね。もうすぐ、多田くんが持ってくると思うから一緒に食べようよ。」
「はい。優?」
「な~に?」
「さっきは悪かったな。多分もう大丈夫だ。」
「うん。それで有李斗、今は目の方はどう?」
さっき、光を帯びていた有李斗の目からは光はないように見える。
「そうだったね。優くんのあれの方が頭一杯になっちゃって忘れてたよ(笑)」
冗談を言いながら、有李斗の目を見る。
「先生~、やめて~。」
優の顔が真っ赤だ。何の話をしているのか有李斗にはわからない。
「2人は何の話をしているんだ?」
「有李斗くん覚えてないの?もったいないな~(笑)」
「何の事だかさっぱり。そんなにいいものだったのか?」
優に聞いてみるが、赤い顔をしたまま下を向いている。
「何でもないから。先生の意地悪~。」
その表情は、いつもの可愛いもので、話の内容はわからないけど、その顔を見れて有李斗は安心している。
【いつもの空気だ】
いつも、自分がもし優と同じようになったらと考え想像していたのに、いざそうなってみると、こんなにも不安になり自分が保てなくなるものかと。そうして恐怖もある。でも、優の鼓動音を聞き、匂いがあり、顔を見ていたら大丈夫なんだと実感した。
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