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どうしても確かめてみたい。何も今じゃなくてもと思うが、部屋にいるのなら大丈夫な気がしている。このままずっとと言うわけにはいかない。それでは、優はトイレすら行けないじゃないかと思った。
「じゃあ、取ってくるね。」
心配な顔をしながらベッドを降りて冷蔵庫へ行った。
【大丈夫じゃないか】
手を離して直ぐは何でもない。部屋にいる分には問題なさそうだと思った。が、しかし頭の中の砂嵐の映像が段々ハッキリしてくる。それに、少しずつ身体が震え出してきた。
【何でだ。優は、そこにいるじゃないか。この家の中のすぐそこに】
「有李斗くん?」
異変に気付き、先生が言葉をかける。
「大丈夫です。今、慣れなきゃ、あいつは1人で動けない。」
【同じ家の中にいるんだ。不安になる必要なんてない。俺は何に不安になっているんだ。大丈夫】
自分に言い聞かせる。しかし、言い聞かせればする程、震えが酷くなる。
「くっ…」
「有李斗くん、無理しなくていいんだよ?何日か経てば元に戻るって優くんも言ってるし。何日かは甘えてればいいんだよ。」
「でも…それじゃあ…」
【ダメだ。震えが止まらない】
目を硬く閉じ我慢をしていたが、その目から涙が出てきた。
【もう無理だ。俺、何やってんだ】
「優!」
大きな声で優を呼んだ。その声に慌てて、優はベッドへ戻ってきた。
「有李斗…」
急いで有李斗を抱きしめる。
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