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遠くを見るような目でボソッと言う。
「もうしないから」
そんな会話をしていると、
「僕も手伝ってくるよ。フレンチトースト美味しかったよ。今度またお願いね。何かあったら呼んでね~。」
先生はそう言って、大たちのところへ行った。先生はやはり大人で、いつもみんなの事をよく見てくれるし、さりげない行動も多い。自分が元気になったら、一度はきちんとお礼をしたいと有李斗は思った。
「う~ん。有李斗?」
先生も部屋からいなくなり2人きりになった。その途端、優が有李斗の名前を呼び、ジッと見てきた。
「僕は、怒ってます。何で、あんな事するの?さっき、もうしないって言ってよね?次にしたら怒るよって言ったよね?」
多田たちの前で手を離そうとした事を言ってきている。
「だって、会話しづらいかと思って。」
「そんなの理由にならない。本当に手錠とかしちゃうよ?」
「だから、さっき謝ったっ…」
優がキスをしてきた。
「お仕置き。僕の言う事聞かなかったお仕置きだから。」
いつもなら逆の立場なのに、今日は優からされている。優の性格から考えると、顔を赤くしながらしてきているわけではないので、本当に、腹に据えるものがあってしてきていると有李斗はわかった。
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