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ギルド長は「あ、あ~」と頷きながらトニーを見た。
「もちろん検討しているよ。その件は後日、連絡させてもらおう」
本当にこの男、やる気はあるのだろうか。
とりあえず、僕の基本給が1000アルゲン昇給され、月給31000アルゲンになった。長い間任務に従事したため、4月末まで休暇もくれるという。
ギルド長室を出るとトニーに言った。
『とりあえず、休暇も出たしゆっくりと休もうか』
「そうですね」
4月も後半に差し掛かった日。僕はトニーと夕食を取っていた。
『結局、増員の話…どうなってる?』
「その話をしてもギルド長…はぐらかすだけなんですよね」
トニーはそう言いながら紅茶を飲んだ。僕が直接交渉するしかないのだろうか。そう思っていたらギルドのドアが開いた。
「こちらです、勇者様」
「ご苦労!」
騎士に連れられてやってきたのは、まだ幼さを残した子供だった。年は中学生くらいだろう。だらしなくシャツを出し、ずるずると不良のように歩いて来る。騎士はマスターに話しかけ、そのまま不良少年をギルド長の部屋まで連れて行った。
思わずサツキと目が合った。彼女は小声で「めんどくさそう…」と囁く。全く同意見だが、ああいうのに限ってレア能力を持っていたりする。
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