ドラゴンスレイヤー

4/30
前へ
/164ページ
次へ
「あの…何が始まるのですか?」  唯一、先輩のしごきを受けていない隼人は不思議そうに聞いてきた。まあ、ここまで放置されているということは、隼人はしごきの対象にはならないということだろう。僕は耳元でそっと種明かしをした。すると、隼人の表情が凍り付いていく。 「そ、それ…1歩間違えると…」 『命を落とすだろうね。僕もリュシアンがいなければ大変なことになってた』  その様子を見ていたサツキは残念そうに言った。 「な~んだ。隼人君…とっくに知っているのかと思ってた。柊馬君と仲いいし」  ドワーフのゴーダも面白がっている様子だ。 「先輩と仲良くするのは大事だぜ。こういうしごきを受けなくて済むからな!」  隼人は引きつった顔をしながら僕や先輩たちを眺めた。  グレイトが戻って来たのは、夕方になったころだった。彼も従兵たちも泥まみれになり、武器も壊れ、けが人を背負っての帰還となった。  森と平田は行った時のまま汚れ1つなく、ゲラゲラと笑いながらグレイトをなじった。 「おやおやグレイト殿。どうされたのですか~?」 「自身も部下も一流なのに、この結果は納得いきませんねぇ~」 「うるせーテメーら! よくもハメや…いててててて…」  グレイトは肩や足を負傷したらしい、包帯を巻いていたが赤くなっている部分がある。 「あんなカルシウム如きにボコボコにやられるなんて、やっぱ大したことねーよ」 「ガキは雑巾でも絞って床磨きでもしてな」
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加