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「あの…何が始まるのですか?」
唯一、先輩のしごきを受けていない隼人は不思議そうに聞いてきた。まあ、ここまで放置されているということは、隼人はしごきの対象にはならないということだろう。僕は耳元でそっと種明かしをした。すると、隼人の表情が凍り付いていく。
「そ、それ…1歩間違えると…」
『命を落とすだろうね。僕もリュシアンがいなければ大変なことになってた』
その様子を見ていたサツキは残念そうに言った。
「な~んだ。隼人君…とっくに知っているのかと思ってた。柊馬君と仲いいし」
ドワーフのゴーダも面白がっている様子だ。
「先輩と仲良くするのは大事だぜ。こういうしごきを受けなくて済むからな!」
隼人は引きつった顔をしながら僕や先輩たちを眺めた。
グレイトが戻って来たのは、夕方になったころだった。彼も従兵たちも泥まみれになり、武器も壊れ、けが人を背負っての帰還となった。
森と平田は行った時のまま汚れ1つなく、ゲラゲラと笑いながらグレイトをなじった。
「おやおやグレイト殿。どうされたのですか~?」
「自身も部下も一流なのに、この結果は納得いきませんねぇ~」
「うるせーテメーら! よくもハメや…いててててて…」
グレイトは肩や足を負傷したらしい、包帯を巻いていたが赤くなっている部分がある。
「あんなカルシウム如きにボコボコにやられるなんて、やっぱ大したことねーよ」
「ガキは雑巾でも絞って床磨きでもしてな」
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