落幕 夢の終わりは命の終わり

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 振り返った花音の、すぐ目の前。  2メートルほどの距離に、それは静かに立っていた。  緑色の体毛。真っ赤な目玉。    動物だが、なんの動物か分からない、いい加減な造形。  やたらと巨大な頭に、ボテッとした体。  着グルミだった。遊園地などにいる、あの着グルミだった。  フランスのカンヌ市にあるミドルクラスのホテル。  コートダジュールにある観光客向けのオシャレなホテル。  その部屋のリビングには、まったくと言っていいほど似合わない。  違和感の塊である。
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