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「本当に動いてたのか?」
「はい」
「全弾、命中したんだな?」
「はい。鑑識で調べてもらえればハッキリするはずです」
「……中の人物はどうした?」
「係長、それはすでに申し上げましたし、防犯カメラの映像を見れば分かると思います。あの休憩室にはカメラがありましたから」
「確かに、あったな」
「なら……」
「だが写ってなかった」
「え?」
「映像を再生してみたら、ザーザー砂嵐だ。何も映ってない」
「……なぜです?」
「こっちが聞きたい。都合良く壊れたか、誰かがデータを消したか」
警視庁刑事一課の係長が、意味ありげに見つめてくる。
「……私が消したと、おっしゃりたいのですか?」
「そう疑ってる者も、何人かいる。まあ俺は違うと思うがね。そもそもオマエに潜入捜査を命じたのは俺たちだ。元から仕組んでた可能性はない」
「当然です。仮にあの中に誰かが入っていたとして、私がその人物を射殺したとします。なら死体はどこへ消えたんですか? 防犯カメラは入り口の廊下や建物の出入り口など、いたる所にあります。全部壊れてたんですか?」
「いや。壊れてたのは現場のものだけだ」
「なら、私が死体の処理などしていないのは分かるはずです」
「まあな」
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