前幕 夢の残骸

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「仮にだ。おまえの言うことが本当だとして、そんなもん、どうやって解決する? そりゃもう警察の仕事じゃねえ。霊媒師とかエクソシストとか、そういう類の話だろうが。刑法の執行機関である警察に、どうしろってんだ?」 「しかし、被害者が存在してる以上は、刑事事件なのでは?」 「イヤな点を突いてきやがるな。けどな。もし呪いや超能力で人を殺せるヤツがいたとして、検察は起訴できると思うか? できねえよ。呪殺を罰する法律はねえ。丑の刻参り自体は犯罪じゃねえしな。せいぜい名誉毀損かなんかで、別件起訴するしかねえわな」 「なら、そうすべきでは? 我々の目的には防犯も含まれるはずです。別件でも逮捕起訴すれば、犯罪の抑止になります」 「人権派の連中が聞いたら猛抗議してくるだろうが、俺自身はその意見に賛成だ。ただし。丑の刻参りは人間がすることだ。今回のコレはどうだ? いったい誰を別件逮捕する? 何をどう抑止するんだ?」 「それを調べるためにも、捜査の継続を……」 「ムチャ言うな。公式には事件は解決したんだ。明確な理由もなしに、捜査を継続できん。それこそ人権侵害になる」 「ですが……」
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