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「今更『逮捕は誤認でした』なんて言えるか。あのホシが怪しいことに変わりはねえ。『事件は怪奇現象でした』なんて発表したら、刑事部の解体だ。もし怪奇現象だったとしても、起こしたのはあのホシだろ。ならそれでいいじゃねえか。事件は解決だぜ」
「そう言い切れないから、心配なんです」
「だがこれ以上はどうしようもねえ。踏ん切りをつけろ」
「しかし……」
「どうしても納得できねえんなら、警官を辞めろ。そんで、週刊誌にでも見たことをそのまま語ればいい。ただし、忠告しておくぞ。おまえはキ〇ガイと思われるだけだ。それならまだいい。実はおまえこそ真犯人なんじゃないかって、疑われるだけだぜ」
「…………」
「発砲は、怪しい人物に対して、空に向けて警告発砲した、ということにしといてやる。お咎めはナシだ。所轄の通常業務に戻れ」
そう告げて、係長は鑑識の部屋から出て行った。
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