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所轄に勤める女性捜査官、日下燐香は。
ステンレスのバットに盛られた、犠牲者たちの毛髪と目玉を見やる。
本当に、それでいいのだろうか?
何か、納得いかない。何かが間違ってる気がする。
夢祭は主催者が総入れ替えになったが、今も人気絶頂だ。
事件はむしろ、ファンの興味をかき立てる起爆剤になった感じだ。
少女たちを消費する文化がある限り。
たとえ『夢祭3000』が潰れても、また別のアイドルが誕生する。
燐香は毛髪と眼球が盛られたバットを、今は何も入ってない、ペッタンコの緑の化繊が毛羽立っている、胸の上に置いた。
そして部屋から、出て行った。
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