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さて。そろそろチェックアウトの時刻がせまってきた。
このホテルを出る時間だ。
「私が頂点よ。歴史に名前を残す大女優。永遠の女神になる」
リビングの窓からカンヌの町並みを眺めつつ、そう呟く。
この選ばれしビューティー、綾本花音の栄光の軌跡が。
これからさらに高みを目指して駆け上がっていくのよ。
そう心の中で呟き、カンヌの風景を脳裏に焼き付けて。
花音はキャリーバックの取っ手をつかんで。
チェックアウトのために部屋から出ようと、振り返った。
そこで、花音の体は、彫像のように動かなくなった。
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