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とある文房具屋の、とある陳列棚。そこでは、たくさんのペンたちが心を弾ませながら、静かに並んで待っていた。
「俺を買ってくれる人は、どんな人かな」
「昨日も、私と同じ型なのに、もっと線の細い子が選ばれていったわ。私みたいに太い線のペンは、最近、人気がないのかしら」
「おいらなんて、もっと酷いぞ。兄弟10人まとめて袋に入ってるのに、先輩に聞いた所によると、買われた後は皆んな別の人間に配られて、兄弟バラバラにされてしまうらしい」
「うふふ。私は新製品のボールペンだから、仲間たちがこの棚とは違う所にもいるのよ。そうして人間は私を見つけて、手にしてくれるの。鼻が高いわ」
もちろん人間には聞こえない声だが、彼らはいつも、こんな風に楽しくおしゃべりをしながら、棚に並んでいた。とは言っても動くことはできないので、みんな声を大きく張り上げている。
「僕の中には、3色のボールペンが入っている。それがずっと自慢で誇りだったのに、最近似たようなやつらがウジャウジャいて、困ってるんだ」
「あなたをわざわざ選ばなくても、他に良いペンがたくさんあるからね」
そう冷たくあしらったのは、隣の棚にいるシャープペンシルだった。シャープペンシルは、こうも続けた。
「いつもあなたたちが、やかましく話をしているけど。こちらの業界も大変なのよ。今までは、握りやすいとか芯が出やすい子が人気だったのに。最近は、いつでも尖ってるとか、体が細くて軽いとか。昔から人気だった子もまだいるけど、いつの間にか姿を消している子も多いわ」
その言葉を聞いて、ボールペンたちはお互い顔を見合わせ、黙り込んだ。
確かに、昔馴染みの仲間も多かったが、気付かないうちに1人、また1人と居なくなっていた。買われていくのではない。棚に置かれなくなるのだ。
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