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大学を卒業して、社会人になった初めての夏、
お盆前だったと思う。
ケータイに知らない番号から電話があった。
一回、二回、三回と、着信音が鳴り続ける。
悪戯電話や詐欺ではないことを祈って、電話に
出てみると若い女の子の声だった。
「もしもし、私、覚えている。
お久しぶり、元気だった。
ねえ、お盆休み、一日くらいあるでしょ。
今、私、大阪にいるの。遊びに来ない。」
思い出した。
あの子だった・・・・・・。
「別にいいけど。
待ち合わせの日時と場所は、どこにする。」
「じゃあ、梅田のビルの赤い観覧車がある
デパートの前に、 夕方の6時。
大丈夫、着いたら、電話するから。
絶対に来てね。じゃあ、またね。」
あの子は、それだけ言うと、勝手に電話を切ってしまった。
僕は、ケータイを握りしめながら、寝そべり、天井を見上げる。
あの子との思い出を心の奥から、探り出した。
最初の出会いは、大学の男友達から、同じ講義で何となく、
「こいつ、高校の同級生。もてたんだぜえ。」と、紹介された。
確かに男受けする顔と雰囲気で、納得できた。
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