0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
バイト終わりの雨
彼はもう帰ってしまったのだろうか?
タイムカードはすでに押されている。男性従業員の更衣室からも彼の声はしない。
バイトリーダーの彼が帰るのは最後だと思っていた。
店舗はそれほど大きくない。バイトは私を入れて5人。男性3人の女性2人だ。
タイムカードを見ると、どうやら私が最後みたいだから、店舗の中を全部見てから、セキュリティをセットして帰ろう。
彼が最後だと思って待っていたのだけど、失敗したな・・・。
閉店して暗くなっている店舗の確認を終わらせた。
従業員の通用口に居るガードマンに鍵を預けて帰る。
「お疲れ様」
「今日は最後だったのだね」
「えぇ少し遅くなちゃった」
「そうか、雨がまた降り出したから気をつけて帰れよ」
「うん。ありがとう」
通用口から通りを眺める。目の前に今日の日付が表示されている。
「そうか・・・今日・・・はあぁ・・・。ダメだな」
「何がダメなんだ?」
横から、傘が差し出される。
え?なんで?
「濡れるだろう。早く入れよ」
「え?」
なんで?彼が居るの?
「リーダー?なんで?」
「何だよ。バイトが終わって、待っていただけだろう?それに、今はリーダーとは呼んで欲しくない」
最初のコメントを投稿しよう!