バイト終わりの雨

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バイト終わりの雨

 彼はもう帰ってしまったのだろうか?  タイムカードはすでに押されている。男性従業員の更衣室からも彼の声はしない。  バイトリーダーの彼が帰るのは最後だと思っていた。  店舗はそれほど大きくない。バイトは私を入れて5人。男性3人の女性2人だ。  タイムカードを見ると、どうやら私が最後みたいだから、店舗の中を全部見てから、セキュリティをセットして帰ろう。  彼が最後だと思って待っていたのだけど、失敗したな・・・。  閉店して暗くなっている店舗の確認を終わらせた。  従業員の通用口に居るガードマンに鍵を預けて帰る。 「お疲れ様」 「今日は最後だったのだね」 「えぇ少し遅くなちゃった」 「そうか、雨がまた降り出したから気をつけて帰れよ」 「うん。ありがとう」  通用口から通りを眺める。目の前に今日の日付が表示されている。 「そうか・・・今日・・・はあぁ・・・。ダメだな」 「何がダメなんだ?」  横から、傘が差し出される。  え?なんで? 「濡れるだろう。早く入れよ」 「え?」  なんで?彼が居るの? 「リーダー?なんで?」 「何だよ。バイトが終わって、待っていただけだろう?それに、今はリーダーとは呼んで欲しくない」     
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