適当な説明【伍】

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適当な説明【伍】

で、で。朝陽の章に突入する訳ですね。 Story(五章)   姫月が宗太郎の子を身籠り、振られてしまってから早二年。その傷は癒える事なく、白夜は廃人寸前だった。 弥一達の激励も虚しく、度重なる自殺未遂、薬の過剰摂取、精神崩壊により最早手の施しようがなく、弥一の情人に成り下がるだけの彼女に嫌悪感を抱いてた善吉は、白夜を屋敷から出す事を決意。 「何かあったら戻って来てもいいから」と、諭す善吉の眼を白夜は捉えておらず、一歩を踏み出した時には遠く、遠くの虚を見つめていた。 そうして弥一達の屋敷から出て、孤独を彷徨う中で感情を見失い、最早生死に執着すら持つ事もなく、存在意義を無くして。 そんな夜闇を放浪する旅。 彼女は既に寂しさを感じる事すらなく、月の下を歩く。 日向を、太陽を、朝を、夜明けを嫌い、直すら夜を愛して。 しかし、夜明けは必ず来る。 山賊に言い掛かりをつけられ、脅迫された一人の村人を救った際に※闇神の呪術を酷使した白夜はとうとう力尽き、行き倒れ寸前に。  けれど、死ねなかった。 死ぬことを許されなかった。 太陽が、彼女を救ってしまったから。 夜明けが来てしまったから―― 「――その優しさを、無駄遣いしないで」 ※自身の生命力を犠牲にした呪術。使用すれば身体に傷がつく。また、自身の精神状態(心理状況)により威力が変動し、闇に侵されていればいる程、その威力は倍増する。 ーー この太陽こそが、朝陽です。 順を追って話すなら、白夜は宗太郎に振られた後、弥一達の屋敷に戻って来ます。そこいらは、前にアップした【陰鬱の最中に】でも、少しだけ語られていますね。 宗太郎にフラれちゃったと泣いてボロボロになる白夜を保護した善吉達。白夜はまた居候の身となります。 それから程なくして、白夜は堪えきれずに風呂で首や手首を切り刻み、その一回の自殺未遂がとうとう癖になっていき、見るも無惨な姿となっていきました。
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