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弥一は自分の愛人として囲うことで、白夜の命を繋ぎ止めています。「身体は使えるだろうが。お前は一生死ぬまで女なんだよ」と。一見、最低にも聞こえる発言ですが、不妊になり、あんな形で捨てられた白夜は、全てにおいて自信喪失していましたから。女として扱い、愛人にするのは弥一なりの叱咤激励なんですよね。
そしてそうすることでしか、白夜を生かしておけないと存分に理解していたので、必要以上に構うようになります。
けれど、善吉はそれを理解しながらも、傍観している辛さに唇を毎日噛み締めていました。
白夜が弥一の人形と成り下がるのを見てるのが辛かったのでしょうね。以前なら許せたものも、その時は本当に感情が薄れたお人形だ。と。何とか、白夜の感情を取り戻そうと善吉は献身的に白夜に寄り添いますが、白夜からしたら善吉は宗太郎の影を散らつかせる男だから辛い部分がある。
その他にも理由は多々ありますが、前みたいに白夜が感情の花を咲かせる事は次第になくなりました。
このままではいけない、と。
善吉は白夜を突き放します。善吉なりの優しさです。
弥一達も納得の上でした。弥一はこのまま自殺するなら、それまでだ、と。
そうして白夜は長い間、ひとりただただ放浪生活を続けます。度々弥一達の屋敷に出入りしながら、ですが。
その中で、元々薄れていた感情を更に見失います。完全喪失と言っても過言ではない程に。それこそ、最早生死に執着もしなければ恐怖もない、三章の黒夜を下回る状態ですね。
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