適当な説明【伍】

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朝陽はそれで、感情を剥き出しにし、 「俺はお前さんが生きてりゃ、それだけで無駄遣いだったとは思わねぇけどなっ!」 「優しさに触れて、そこには何も残らないなんて、そんな事はきっと無い!! お前さんには無意味、無価値だったとしても、俺には意味があって、価値も発生したんだよ!! さっきだって、お前さんに名前呼ばれた時、俺はすっげぇ嬉しかったし……、お穏やかな寝顔見れた時だって、本当に助けて良かったと思ってーー……あれ?」と、つい。本音をポロリ。 そして、白夜に言うんですね。 「いいよ。お前さんなら、俺の全て……好きに浪費してくれても」 「それでお前さんの中に、信楽朝陽の名が刻まれるなら……、思い出が残るなら、俺はそれだけで充分だから」 「思う存分、派手に使ってくれて構わない。底が尽きないよう、努めるよ」 優しさを隠さない、出し惜しみしない言葉の数々に、白夜は興味を抱いたのか、朝陽に名乗りました。 「月の宮って書いて、つきのみや」、「白い夜って書いて、びゃくや」と。聞き覚えのあるフレーズに、朝陽は耳を疑い、そして占い師の言葉を思い出した末、確信します。 こいつが、俺の幸福を開く鍵なのかーーと。 if章の一話目は、ざっとこんな感じです。 それから山賊の生き残りに孤児院を襲撃され、白夜は朝陽達の制止も聞かず、山賊潰しに向かいます。 ですが、全滅させたと同時に死にかけ、そして再び朝陽に助けられ、孤児院に来るように説得されますが、その誘いを拒否。その場でさようならとなりますが、去り際の朝陽の「散々な誕生日だった」的な言葉に、感情を動かされました。 翌日、早朝。孤児院の前で踞る白夜を発見した朝陽。 白夜は問います。誕生日を台無しにしてしまった分は返す。だけど何も考えつかない。私は何も持ってない。だから、何がいい? 的に。 朝陽はプレゼントをくれるなら、お前さんがいい。此処に住めよ、と。それで、白夜は孤児院に居候することとなったのですね。朝陽の誕生日プレゼントとして。
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