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この小説で、白夜が鶴を折れないのは霙が鶴に深い想い入れ(母親との大切な記憶)があって、完璧に折る為に幼い頃から努力して折れるようになったものだから。
白夜が不器用なのは確かだけど、鶴だけが折れないのは不器用のせいじゃなくて、霙のやり遂げた思い出を、白夜がやり遂げることは出来ない。
白夜も霙と同じような思い入れがあり、折れるように努力したら出来るようにはなるかもしれませんがね。
同じ魂が出会って干渉してしまった事により、この二人には因果律なるものが発生しております。
もう少し踏み込んで説明していくと、白夜命の霙にとって、朝陽は恋敵になる。で、霙は宗太郎、姫月達を酷く嫌悪して、白夜の仲間である善吉達も好いてない。
独占欲が強い霙の性格上、それが普通なんだとは思いますが、何故だか朝陽に嫌悪感は抱かない。寧ろ興味を抱いているし、好意的なんですよね。朝陽を太陽だって比喩する白夜を納得した上で、霙も朝陽を太陽って呼んでいます。
それは何故かと言うと、白夜が心底好きな人間だから。
朝陽は白夜の本来の理想のタイプである男だから、嫌いになれないんですね。
敵である奏に対しても、宗太郎達程の嫌悪感は抱いてない。
寧ろ白夜同様、その誰にでも分け隔てなく出来る優しさが人を殺すと思っているし、それを含めた上で偽善者従者と揶揄している。
霙は奏にそれを指摘、非難するのですが、それは魂の共鳴故の行動。
白夜はそれを心の何処か奥底で恨んでいるけど、奏には言えない。
けど救われたい、何故自分を見捨てたか知りたい想い。
奏に対してそう言った未練が白夜の中で眠っているから、魂がそれに共鳴して霙にそうさせた。
隼人に関してもそうですね。霙は隼人に対して偏執してる節が多く見られます。彼は隼人を“切り札”と比喩して呼びますが、それも大当たりです。
白夜にとって、隼人は切っても切れない存在、そして絶対的な人物なのを誰より理解してるとも言えます。
薄々、白夜が宗太郎に惹かれた理由が“優しい隼人の影を追っていたから”って言うのも、気付いてます。
その依存心から解放されたい想いが白夜にはあり、
それが魂の共鳴により、霙は隼人に偏執し、白夜から隼人を消そうと動くようになります。太陽(朝陽)みたいな存在にはなれない。ならば、隼人みたいな切っても切り離せない、代わりなどいない何かになりたいと。
そして、白夜からしたら空吾がそうです。
空吾は今じゃ復讐鬼になってしまったけど、前述した通り本来は凄く優しい男です。
白夜の性格を考えれば、自分と朝陽の仲を汚い手を使って引き裂き、宗太郎への復讐仲間にした男に心を許す筈がないんです。仲間になった前提までは生まれたとしても、心を許すまでにはいかない。
ですが、白夜は空吾に並みならぬ絆を感じるようになります。
それこそ、最終的に自分が復讐の要(空吾がそれで救われるなら、と、殺される事を了承)になるのを躊躇わない程に。
それは霙の親友だから。霙のたったひとりの友達だからです。
空吾みたいな優しい人間を嫌いになれないってのは勿論ありますが。
復讐鬼と化した空吾の優しさを見逃す事なく汲み取り、
早い段階で彼がそう言った人間だと気付けたのは空吾の中にある霙の絶対的な記憶、そして霙の存在のおかげ。
そう言った形で無意識に魂が共鳴しているんですね。
干渉による反作用、共鳴。
これが大きく響いてくのもあり、二人は他にはない絆で結ばれていく訳ですねー。
空吾が白夜に必要以上に感情を抱いてしまったのも、霙と同じ魂だからではないか、と。作者は勝手に推察してます。
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