上煙

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ある日の夜、幕張の劇場、数名の美術スタッフがたわいのない会話をしながら、舞台の設備を取り外していた。 「しかし、最近の声優さんは、大変だな~。歌って踊って、アイドルと一緒だよな。」 「そうだな。今日のヤツなんて、キャラクターのお面つけて出てる子だっていたぜ。」 「プロ意識ってやつだろうなそれは…………んん?」 1人のスタッフが、何かを踏んだ。 足を上げて見ると、そこには、ドロドロに溶けた黒ずんだピンク色の塊が、へばりついていた。 それは、ちょうど「お面の声優さん」の立ち位置に落ちてあった。 ポタリポタリと。
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