透明色のサイダー

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「あっついんだよもう!!」 夏休みは毎日水泳部の練習。水に浸かっている間は気持ち良いが、この昼下がりの帰り道が辛い。容赦なくジリジリと照りつける太陽。息が苦しいほど暑い。制服のスカートが太ももに張り付いて気持ち悪い…。 「ほんとになぁ!せめてジャージで帰らせてくれっつうの…」 部活仲間の山岸がボタンを3個開けた白いワイシャツをバタバタさせながらぼやいた。うちの高校の規則では夏休み中でも登下校は制服着用なのだ。 「水澤ぁ、今俺の胸筋に見惚れただろ!」 「なっ、見惚れてないわ!そもそも部活中いつも見てるじゃん!」 「いつも見てんの~?」 「あーもうはいはい、見てるんじゃなくて見えんの!」 暑い。のに、山岸まで暑苦しい。 山岸とは中高とも同じ水泳部で、クラスも同じで。 友達から羨ましがられたこともある。そんな時は決まって「あーんな奴のどこがいいの」と笑って受け流す。 でも、本当は、私は山岸との関係が好きだ。これを恋と呼ぶのか、はたまた友情の延長か。私にはよく分からなかった。
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