透明色のサイダー

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「水澤ぁ」 「….なによ、もう」 「水澤のうなじ、えっろいな」 「…ちょっ、なに!見んな!!」 暑い。汗が前髪を滴る。 身体が火照る。頭がぼうっとする。 「あ、」 山岸が足を止めた。 「自販機あるじゃん、ちょっとまって」 「はいはい…」 汗がポタポタと落ちて、足元のアスファルトの地面に染みを作った。 ピタ。 「つっめた!!」 「はは、いいリアクション~」 山岸の手には透明なサイダー。ひんやりとした心地よい冷たさを私の首元に当ててにやにやと笑っている。 「わたしのぶん?」 「そーだよ」 「…ありがと」 「いーえ!」 彼の手からペットボトルを受け取ると、山岸も自分のペットボトルを開けた。 「んんー!うっめぇー!!」 「…ん。うまい」 「な!!」 隣を見ると、清々しい笑顔の彼の顔が目の前にあって、慌てて目をそらした。 …身体が、火照る。頭が、ぼうっとする。 全部、暑さのせいだ。
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