60人が本棚に入れています
本棚に追加
バイトは大学とアパートの中間地点にあるコンビニに決めた。
高校時代からしている仕事なので慣れていることと、テスト期間のシフトに配慮してくれるなど学生に優しいのが決め手になった。
まだ未成年なので何にでも必要な保証人には、優子先生が喜んでなってくれた。
「誰にも迷惑をかけない」と心に決めているけれど、いつもどんな時でも味方でいてくれる優子先生の存在は本当にありがたかった。
大学生は良い意味で個人主義。全国から集まった新入生は、みんな勉強やバイトで忙しい。中にはサークルをいくつも掛け持ちしたり、行事やイベントで目立ちたい人もいるけれど、そういう派手なグループだけではなく在学中に資格を取ったり、留学を目指して語学の学校に通ったりいろいろだ。
お互い深入りはしないし、みんなしっかり自分の将来を考えている。
常に誰かと一緒に行動するのが苦手な私にはちょうど良い距離感で、初めて居心地が良いと思える場所になった。
そんな生活に慣れてきた頃、札幌で迎える初めての冬がやって来た。
北海道に住むということは、一年の半分近くを雪の中で暮らすということだ。
だからと言ってみんなが寒さに強い訳ではない。
毎年わくわくする初雪が毎日のぼた雪に変わる頃、もう春が恋しくてたまらなくなる。
最初のコメントを投稿しよう!