2 美桜

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気が付けば、もうすぐクリスマスーー。 去年まではつつましいながらも賑やかな「ひかり園」でのクリスマスを、優子先生やみんなと一緒に過ごした。 大学も休みに入るし、一人でさびしくアパートにいるくらいなら「ひかり園」に帰ろうかとも思ったが、バイトのシフトも詰まっていて決めかねていた。 「クリスマスケーキの予約、おすすめしてね」 と店長に言われて、高校時代に自分で予約したことを思い出した。 ひかり園ではみんなで大きなケーキを作って食べるのだけど、小さい子が張り切り過ぎてクリームをべたべたにしてしまったり、少ない苺が取り合いになって結局大きい子は我慢したりして、おいしいケーキにはありつけないのが常だった。 初めは優子先生においしいケーキを食べて欲しくて予約をした。 ポスターに並んでいる生クリームと苺のケーキや、チョコレートがかかった大人っぽいケーキはどれも魅力的だったけれど、贅沢はできないので、苺の代わりに砂糖菓子の可愛いサンタが乗っている一番小さなケーキを選んだ。 私が他の子に見つからないように白い箱をそっと渡すと、優子先生は驚いた後嬉しそうに笑って、「はんぶんこしようか」と言ってくれた。 真ん中で切ったケーキを一緒に食べると優子先生は何度も「おいしい」と言って、「ありがとう美桜」と頭を撫でてくれた。 私にとってのクリスマスの思い出は、コンビニの一番小さなホールケーキなんだな。 思い出して懐かしくなり、お客さん用の予約表に自分の名前を書いた。 今年は一人で食べようかな。 一番小さいのだけど、一人でホールケーキを食べるなんて初めてだ。 そう思うと少し楽しみになってきて、一緒にチキンやサラダも作ろうと決めた。
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