2 美桜

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私はよろよろと立ち上がると少しでも外気を防ごうと、春に買った薄いカーテンをぴったりと引いた。 そして小さなクローゼットを開けると、夏用の薄い掛布団やタオルケットなどを出して毛布と布団の間に重ねる。 パジャマの上からカーディガンを羽織り、その上に裏起毛のパーカーを重ねて着て、分厚い靴下も重ね履きした。 布団に潜り込むとなんとかなりそうな気がしてきた。 熱がある時、どうしたらいいんだっけ。 体温計も保冷剤もマスクも薬も、何一つ持っていない。 食べ物はカップラーメンが一つと玉子が三つ。何度も言うが、今日買いものに行くつもりだったのだ。だって給料日だから。 給料日は毎月25日だけど、土曜日の時は前日に振り込まれる。 だから今月は今日が給料日。買い物や光熱費の支払いで大分消えてしまうけど、それでも楽しみだった。 時計を見ると十時半。 私は携帯でバイト先のコンビニに電話をして、熱があってお休みしますと店長に告げた。 「北里さん、一人暮らしだよね。大丈夫?」 そう言ってもらえるのがありがたいような、申し訳ないような気持ちでうなだれる。 「はい。忙しい時に申し訳ありません」 「うんうん、わかったよ。ゆっくり休んでね」 「はい、ありがとうございます」 白髪交じりの小太りな店長の、人のいい丸っこい笑顔を思い出して頭を下げた。 また布団に潜り込みながら、だんだん上がって来る熱を感じていた。 「さ、さむっ」 布団をかぶると自分の体を抱きしめながら、またうつらうつら眠った。
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